『2012 デジタルコンテンツ市場の調査と研究』
◼はじめに
放送とTVは、デジタル移行完了で、大目標が消えたこと。スマートフォンがケータイにとって代わること、その影響の大きさ。 SNSほか、ソーシャルネット系のサービスが、社会システム上、通信キャリアの事業と対峙する立位置に浮上すること。 など、大きな変化と、新しい時代に入ったという印象である。2009年~2010年では見えにくかったものが、見えてきた状況にある。
「2012:デジタルコンテンツ市場の調査と研究」を制作した。1990年代から開始したレポートで、今回で13年目。 13年という時間経過は、個々のサービスや、人気コンテンツの変化といった部分的変化ではなく、人の生活や人心といった、世の中・社会の変化が感じられる。 13年はやはり長い時間で、歴史といえる時間量のようである。
過去、コンテンツといえば、エンタテインメントで、エンタメコンテンツという“物品”を観る・聞くなどで楽しむというのがコンテンツで、 ここに、コンテンツ市場という物品市場が形成されてきた。 本レポートの開始時期は、丁度、iモードの開始時期で、この時期から、エンタメコンテンツを中心にコンテンツビジネスが広がった。 近似した考え方は、ケータイのほか、初期のネット対応のTVでも試みられたほか、クルマとNAVIサービスもこの方向にあった。
しかし、TVやクルマ・NAVIはその後、視聴や道路走行という本来の機能が拡充される方向で今に至っている。 TVは家の中での生活、クルマは目的地に安全に向かうという、これも生活の道具である。 クルマ・NAVIの場合顕著であるが、ドライバの快適・安全が重要で、ITやネットワークの利便性は、第一に、このために導入され効果を得ているものである。 この場合、エンタメは基本の上に付帯する、予備的な位置付けである。生活支援がKeyであり、生活に則したコンテンツやサービスが、まず第一に価値を発揮するものといえる。
TVは放送のデジタル化が完了し、次の方向はスマート化である。 模索を要するとはいえ、ネット接続を増加させることと、スマート化が今後の命題であるが、TVが生活の場にある道具という観点で発展させるべきものである。 VODを例にとれば、単に多数の作品を並べるだけでなく、機能を持つクラウドサービスとし、“追っかけ視聴”や録画の代行、外部企業のサーバとつながった物販など 、過去に想定されてきたことを、改めて現実的なサービスとして実行できる段階にあると考えられる。
余談であるが、これらの機能や概念は、市場調査の案件として2000年~2003年あたりにあった事例である。 前述の13年の時間経過で、テクノロジのほか、一般市民の人心も受容する段階に変化してきていると感じられる。 一方で、ITの発想が、現実と感じられるのに10年のタイムラグがある。この点も、長期観察の結果である。
放送局の動向、TVの今後については、スマート化と放送局事業のソーシャルネットとの協業など、新しい展開について触れている。 クルマの場合は、エネルギマネジメントの社会デバイスという点で、重要な位置にあり、この観点で動向と展望をまとめた。
最大の変化であり、人の生活全体に大きく影響するのが、スマートフォンに移行する携帯電話の分野である。 2015年には、ほぼ全機種スマートフォン。スマートフォンが携帯電話の普通となるのは明らかである。 キャリアのコンテンツ事業・サービス事業の歴史は、10年強の時間で変化する段階にきた。 その一方で、プラットフォームとして浮上してくるのが、ソーシャルネット系のサービスということである。 Facebookや国内ではミクシィ。 その他ゲームやゲーム感覚のコミュニティなど、バーチャルな“集いの場”もネットの世界を往復するためのプラットフォームとして重要度が増す方向にある。
スマートフォンが拡大することは、人の生活がオープンインターネットに囲まれるイメージであり、ケータイを代替するという“物品”の変化だけでなく、 携帯電話というHWは常時身に着けている点で、人の生活そのものに変化を与えることになる。 当然、TV、NAVIなどHW全般にわたって影響するものである。 2011年~2012の最大の変化はこの点にある。
それ以上に、サービスを受ける人側の変化は特長的である。 ソーシャルネット系のサービスが重要度を増す背景は、ソーシャルサービスが、バーチャルな環境に生活の場を作り、そこに住民が増えている点にある。 現在のところ、若者の文化であるが、ネット内のコミュニティを住み家として日常が推移する。 リアル、バーチャル双方で、何らかの経済活動が行われ、時間の経過とともに、これが普通の生活様式になるものと推察される。
TVほかHW(社会デバイス)。 放送や、光網、移動通信網、ネットに触れる人心の変化があいまって、冒頭の“世の中の変化”につながっているわけであるが、 ここでは説明しきれないので、詳細は、本書“2012:デジタルコンテンツ市場の調査と研究”本文にて確認願いたい。
なお、レポート内でも、もう一段階高みから俯瞰してまとめるべき点や、手が届き切れていない点があると感じている。 継続し、次の調査レポートで、改めて分析したい希望である。
2011年10月吉日
株式会社 日本・社会システムラボラトリー(NSlabo)
代表取締役社長 足立 吉弘
制作:コンテンツビジネス研究室
◼目次
総論
◎クロスメディア:PC/ノンPCを端末とするコンテンツネットワーク環境
1.日本のデジタルコンテンツ市場
1.1コンテンツ全体市場とデジタルコンテンツ市場
1.2概要
2.各章・各分野ダイジェスト(本調査資料のポータルページ)
I.放送
II.ネット・BB
III.スマート/ケータイ・モバイル端末(モバイル1)
IV.自動車(モバイル2)
V.映画館・シネコン・デジタルシネマ
VI.デジタルサイネージ
VII.CD-DVD-BDパッケージ
各論
I.放送
1.放送の今後
1.1放送スケジュールと周辺環境:~2020年
1.1.1デジタル放送:概況
1.1.2テレビ放送とIPとの関係:周辺環境のスマート化と、放送事業の今後
1.1.3スマート化とTV機能の今後
1.1.4デジタル放送2011年、2012年の動向
a.NHK
b.民放の事業の方向
2.放送の現状
2.1地上放送(+IP放送)
2.2 BS放送
2.3 CS放送
2.4 CATV
2.5ブロードバンドIP放送
2.6事業者の狙い 性格の違い
3.海外IPTV放送のUI
3.1海外IPTV代表一覧
3.2米国IP放送事業:画面展開、UIの特長・傾向
3.2.1 UI、操作手順とIP放送サービス:サービスの性格と、画面UI手順の流れ
a.ベライゾン ファイオスティーヴィー:Verizon FiOS TV
b.COX TV
c.Hulu
4 ハードウェア市場
◎TV市場(リビング)
II.ネット・BB
1. 概要
1.1ネット・PC分野:2011年現在の注目度
1.2 PCほかデバイスとスマート環境
2.国内ブロードバンド普及状況
◆ブロードバンドサービスの契約数推移
3.SNS( Social Networking Service)
3.1 SNSの位置づけ:ソーシャルメディア/コミュニティの分類
3.2SNSの:ポータルプラットフォームになる重要性
3.3 SNS国内市場概要・概況
3.4国内SNS広告掲載料金
4.ゲームソーシャルサービス
4.1国内ゲームソーシャルサービス市場概要・概況
4.2国内ゲームソーシャルサービス広告掲載料金
5.関連サービスデータ
5.1主な動画サイト利用状況
5.2有料音楽配信
5.3ポッドキャスティング
5.4電子書籍(モバイル1スマートフォン/ケータイより転載)
5.5ブログ
6. 民生需要HW市場規模推移・予測
6.1タブレット端末
6.2PC
III.スマートフォン・ケータイ/モバイル端末(モバイル1)
1.ケータイサービスの今後
1.1ケータイ(フューチャフォン・ガラケー)とスマートフォン
1.2ケータイ・スマートフォンサービスの現状と今後
1.3ケータイキャリアのサービス動向 各社の見解
1.4電子書籍市場とスマートフォン
1.5角川書店:電子書籍事業の考え方
1.6ブックリスタの考え方
2.ソーシャルメディアとスマートフォン
3.新・放送とスマートフォン
3.1概要・動向
3.2加入件数・番組コンテンツ
4.モバイル1:携帯型HW市場・サービス市場
4.1ラジオ(アナログ)市場規模推移・予測
4.2ポータブルTV市場規模推移・予測
4.3オーディオ端末:ミュージックプレーヤ/メディアプレーヤ
4.4音楽配信サービス(ネットDL・着うた・着メロ)
IV.自動車(モバイル2)
1.クルマと都市・社会インフラ
1.1自動車と都市情報:スマートシティインフラ
1.1.1自動車・NAVI:ITの関わり
1.1.2 NAVIとクルマはマネジメント機器
1.1.3自動車とIT:エネルギマネジメント
1.2自動車の今後 :自動車とNAVI+テザリング
2.2011年現状のITS・テレマティクス
2.1 NAVI ⇒ テレマティクスの現状
2.1.1 NAVI・“民”のサービス:ドライバ(顧客)支援
2.1.2 プローブカー情報システム
2.1.3主要3社テレマティクス契約(利用可能)状況とプローブ契約状況
a.テレマティクス契約者とさらにプローブ契約者
b.ホンダ
c.ニッサン
d.パイオニア
2.1.4 各社のテレマティクスサービス
★ドライバ(顧客)支援は、コンテンツ販売ではなく、車外世界を知る情報サクセス
★サービス展開の結果は、社会システムの一助
2.2 NAVI+スマートフォン・スマートデバイス
2.2.1 民のテレマティクスは、安全と省エネルギのため
2.2.2 官のテレマティクスETC・ITSと民のNAVIテレマティクス
3.今後:自動車情報 と道路社会インフラ(自治体と、メーカ)
4.個別調査票
4.1 横浜市
4.2 パイオニア
5.ハードウェア市場 (データ編)
5.1 ナビゲーション市場:タイプ別市場
5.2 NAVI国内 市販/純正(ライン装着)
5.3 NAVIソフト国内 市販/純正(ライン装着)
5.4 NAVI世界市場
5.5 ETC国内市場
5.6 カーTV国内市場
5.7 車載地デジチューナ国内市場
5.8自動車市場
5.8.1 国内市場規模
5.8.2 国内自動車保有台数
V. 映画:シネコン・映画館・デジタルシネマ
1.概要:シネマの現状
1.1シネマ(コンテンツ)の現状
1.1.1 映画館・シネコンのデジタル導入:2009年末“アバター”以後
1.1.2シネコンへの映画のデリバリ:可能な限り早期にIP配信に移行させたい状況
1.1.3映画館・シネコンの多目的シアタ化
1.1.4 ODSの集客状況・推移(事例)
1.2映画館・シネコン(ビジネス)現状
1.2.1スクリーン数と映画興行収益(映画視聴売上げ)
1.2.2スクリーン数推移
1.2.3映画興行売上げ推移
2.2008年の興行収入
2.1映画全体の興行収入ランキング(2010年)
2.2邦画のランキング(2010年)
2.3洋画のランキング(2010年)
3.製品と市場:シネマデジタルプロジェクタ
3.1市場概況<DLP Cinemaプロジェクタ世界市場規模推移>
3.2国内市場
4.デジタルシネマの導入
4.1国内デジタルシネマプロジェクタを導入した主な映画館
4.2 米国・日本国内のデジタルシネマの普及
5.個別調査票
5.1ティ・ジョイ
5.2 NECディスプレイソリューションズ
VI.デジタルサイネージ
1.デジタルサイネージ、情報サイネージと広告・集客
1.1デジタルサイネージの定義と概観
1.1.1 市場概観:推移と現状
1.1.2 サイネージ分析定義
1.2 市場規模
2.2011年のデジタルサイネージ
2.1 デジタルサイネージの事業の変化:現状と本格化の経緯
2.2 サイネージプラットフォームの登場:汎用化と標準化でサイネージし易くなる
◆ニューフォリアの役目
:基本コンテンツ群を実装した、コンテンツプラットフォームを提供
3.サイネージ潜在市場:眠っているサイネージとクラウドサービス
3.1 眠っている・死んでいるとはどういうものか:種類と規模
3.2 看板:電子化とデジタルサイネージ
配信移行の効果:死んでいる・眠っているサイネージ1
◆AVIXの狙う看板配信
3.3 DVD再生の業務ディスプレイ:死んでいる・眠っているサイネージ2
4.個別調査票
4.1 シアーズ
4.2 NTT・NTT-IT:ひかりサイネージ
4.3 MCドゥコー
VII.CD-DVD-BDパッケージ
1.CD-DA市場規模(国内)
2.SACD市場規模(国内)
3.CD-ROM市場規模
3.1一般・特化区分市場規模
3.2分野別市場規模
4.DVD-Video市場規模
4.1一般・特化区分市場規模
4.2分野別市場規模
4.3主第別市場規模
5.DVD-ROM市場規模
5.1一般・特化区分市場規模
5.2分野別市場規模
5.3主第別市場規模
6.DVD-Audio市場規模
7.Bru-ray市場規模
7.1一般・特化区分市場規模
7.2分野別市場規模
7.3主第別市場規模
⬛資料概要
◆タイトル :『2012:デジタルコンテンツ市場の調査と研究』
◆発刊日 : 2011年10月23日
◆総ページ数 : 336ページ
◆領価 : 書籍のみ:97,000円(税抜)
CD-ROM付(書籍+PDF):107,000円(税抜)
◆資料のお申込み/質問は下記問合せフォームからお願い致します。
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